【超会計力】外貨取引の会計処理を英語で行う3つのポイント
こんなお悩みの方にオススメ

✔英語での外貨取引の会計処理が上手くできるか不安。

この記事で得られるメリット

✔英語での外貨取引の会計処理も問題なくこなすための3つのポイントをご紹介
1.機能通貨の決定
2.外貨取引の記録に使うのは取引日の為替レート
3.決算時に外貨の換算をする

本記事を書いている私の経歴をざっくり説明します。

当ブログ運営者の経歴

・USCPA合格後、新卒としてシンガポールの中堅監査法人に就職。3年間ほど勤務。
・その後転職し、現在はシンガポールで経理関連の業務を中心にバックオフィスの仕事。

シンガポールで会計に関わる仕事を8年している経験をもとにお話していきます。

今回は、シンガポールの会計基準「SFRS(I)1-21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates」をもとに解説していきます。

「The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates」とは、「為替変動の影響」という意味です。

※「SFRS(I)」はシンガポール会計基準(Singapore Financial Reporting Standards (International))の頭文字であり、IFRS(国際会計基準)と同等の基準になります。

✔頻出する英単語の紹介

まずは外貨取引の会計処理でよく使われる英単語のご紹介をします。

外貨取引に関わる単語

為替:(Foreign) currency exchange
為替レート:(Foreign currency) exchange rate
換算/換算する:Conversion/Convert
為替差損益(実現):Foreign currency exchange gain/loss – realised
為替差損益(未実現):Foreign currency exchange gain/loss – unrealised

機能通貨を決定

外貨取引に関する解説を始める前に、まずやることがあります。

それは、会社の機能通貨(Functional currency)を決めることです。

機能通貨とは?まずはその定義をSFRS(I)1-21で確認してみます。

Functional currency is the currency of the primary economic environment in which the entity operates.

SFRS(I)1-21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates

これを訳すると、「機能通貨とは企業が事業を行う主要な経済環境の通貨である」ということになります。

要するに、企業が事業として主に取り扱う通貨が機能通貨になるということです。

例えば、シンガポールにある企業は事業でシンガポールドルを多く取り扱うのでシンガポールドルが機能通貨になる場合は多いです。

ですが、その国に企業があるからといって、その国の通貨が必ずしも機能通貨になるとは限りません。

SFRS(I)1-21では機能通貨であるための条件が書かれていますので、そちらも見ていきましょう。

(a) the currency:
(i) that mainly influences sales prices for goods and services (this will often be the currency in which sales prices for its goods and services are denominated and settled); and
(ii) of the country whose competitive forces and regulations mainly determine the sales prices of its goods and services.

(b) the currency that mainly influences labour, material and other costs of providing goods or services (this will often be the currency in which such costs are denominated and settled).

SFRS(I)1-21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
これを訳すると

(a) 通貨が、
(i) 商品やサービスの販売価格に主に影響を与える(これは、その商品やサービスの販売価格が決済される通貨であることが多い)
そして、
(ii) 競争力と規制が主にその国の商品やサービスの販売価格を決定する

(b) 商品やサービスを提供するための人件費、材料費、その他のコストに主に影響を与える(これらのコストが決済される通貨であることが多い)

長いし、よく分からないかと思うので、ざっくり要約すると、「売上」と「売上原価」に影響する通貨が機能通貨になるということになります。

もしこの条件に照らし合わせても機能通貨が決まらない場合には、追加で考慮する条件がありますが、中級以上の内容なるので、ここでは割愛します。

追加条件を考慮しても機能通貨を決めることができない場合もあります。

どうしても決まらない場合には、上記(a),(b)の条件を最優先事項として経営陣の判断で決めることになります。

ちなみに、機能通貨を後で変更することも可能です。

例えば、シンガポールドルでの取引が多かったが、USドルでの取引が増えていき、シンガポールドルでの取引量を超えた場合などは、機能通貨をシンガポールドルからUSドルへの変更につながります。

外貨取引の会計処理

ここまで来てようやく機能通貨を決定したところで、外貨の話に移ります。

まずは、何が「外貨」になるのか?

それは「機能通貨以外全ての通貨」ということになります。

取引を外貨で行った場合、会社の帳簿には機能通貨で記録しないといけません。

つまり、為替レートを使って、外貨を機能通貨に変換する必要があります。

では、いつの日の外貨レートを使えばいいのでしょうか?

SFRS(I)1-21にこの条件が書かれていますので、そちらを見ていきます。

A foreign currency transaction shall be recorded, on initial recognition in the functional currency, by applying to the foreign currency amount the spot exchange rate between the functional currency and the foreign currency at the date of the transaction.

SFRS(I)1-21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
これを訳すると

初めて機能通貨で認識する際には、外貨取引は取引日における機能通貨と外貨とのスポット為替レートを外貨の金額に適用して記録されなければならない。

スポット為替レート(Spot exchange rate)とは、「取引があったその時の為替レート」という意味です。

つまり、「外貨を機能通貨に変換して帳簿に記録する際には、その日の為替レートを使って変換してから記帳すること」という意味になります。

ここからは具体例を使って説明していきます。

例題で使う用語

・シンガポール=SGD
・USドル=USD
・Trade receivables=売掛金
・Sales=売上
・Cash and cash equivalents=現金及び現金同等物

①12月1日に商品をUSD500を掛けで販売しました(為替レート@SGD1.37/USD)
(この会社の機能通貨はSGDとします)

Dr.Cr.
Trade receivablesSGD685(USD500)
SalesSGD685(USD500)

「掛け」での販売とは、商品やサービスを先にお客さんに提供して、後から支払ってもらうことです。

支払いまで14日とか30日など期限を設けますが、日数はお客さんとの関係次第で変わります。

②12月15日に売掛金USD500のうち、USD250の入金がありました(為替レート@SGD1.35)

Dr.Cr.
Cash and cash equivalentsSGD337.50
Foreign currency exchange loss – realisedSGD5
Trade receivablesSGD342.50

”Foreign currency exchange loss – realised”とは何かといいますと、「為替差損益(実現)」という意味になります。(realisedが実現、unrealisedが未実現)

もう少し詳しく説明すると

・為替差損益(実現):現金での回収や支払いが発生し、為替変動による損益
・為替差損益(未実現):決算時にバランスシートにある外貨を換算した際に発生する為替変動による損益

②では売掛金USD500のうち、USD250の入金がありました。

①と②の間には14日が経過しており、その間に為替レートも変動しています。

(1)12月15日にUSD250を受け取ったので、その日の為替レートでSGDに換算すると、USD250=SGD337.50(A)でした。
(2)また、USD250の入金とは、①で記録したTrade receivablesのうちSGD342.50(為替レート@SGD1.37/USD)(B)を受け取ったということになります。
(3)そして、実際に受け取った金額SGD337.50(A)とTrade receivablesから減ったSDG342.50(B)の差額SGD5が為替差損益となります。

つまり、上の(1)~(3)をまとめると

(1)入金された日の為替レートで機能通貨に換算
→「Dr. Cash and cash equivalents」にSGD337.50を記録

(2)外貨の売掛金を機能通貨に換算した時の為替レートを使用して、売掛金の回収を記録
→「Cr. Trade receivables」にSGD342.50を記録

(3)Dr.とCr.の差額のSGD5を「Foreign currency exchange loss – realised」として記録。差損益というくらいですので、(1)と(2)の差額をDr.もしくはCr.のどちらかに入れる感じになります。
→「Dr. Foreign currency exchange loss – realised」にSGD5を記録

<注意点>

取引を記帳する時には、機能通貨だけでなく外貨での金額も記録しておくことだ大事です。

通常は請求した通貨での入金があるので、請求した通貨での残高が0になるように売掛金を回収していきます。

USDSGD
Trade receivables
(売掛金)
500685
Cash and cash equivalents
(入金があった現金)
(250)(337.50)
Foreign currency exchange loss – realised
(為替差損益(実現))
(5)
Balance of trade receivables
(売掛金の残高)
250342.50

ですが、現在あるほとんどの会計ソフトでは、外貨での記録を残すことができると思います。

マニュアル(手入力)で管理している場合を除いて、あまり心配する必要はありません。

決算時の外貨の換算

会計のルール上、決算時にBSにある外貨の項目を決算日の為替レートで機能通貨に換算しなければなりません。

決算をカンタンに説明すると、会社の1年間の業績(数字)をまとめる手続きです。

決算についてもう少し詳しく知りたい場合は、以下の記事をどうぞ。

全ての外貨の項目が決算時の為替レートで換算する必要があるというわけではありません。

換算が必要なもの、必要でないものは以下の通りです。

外貨の評価が必要な項目例

・Cash and cash equivalents(現金及び現金同等物)
・Trade and other receivables(売掛金及び未収金)
・Trade and other payables(買掛金及び未払金)
・Borrowings(借入金)
・Provisions(引当金)

外貨の評価が必要でない項目例

・Prepayments(前払金)
・Inventories(棚卸し)
・Property, plant and equipment(固定資産)

では、決算時の外貨の換算について、上で紹介した例を引き続き使って見ていきます。

③12月31日に残っている売掛金はUSD250、半分入金されて手元にある現金はUSD250だったので、外貨の換算を行います(為替レート@SGD1.39)

(A)
USD
(B)
SGD
= 上記②で換算されたSGD
(C)
= (A) @SGD1.39
= USD決算日の為替レートでSGDに換算
Foreign currency gain/(loss) – unrealised
= (C) – (B)
Trade receivables250342.50347.505
Cash and cash equivalents250337.50347.5010

これをDouble entryにすると、以下の通りです。

Dr.Cr.
Trade receivables5
Cash and cash equivalents10
Foreign currency exchange gain/loss – unrealised15
英語の豆知識

「外貨の換算」を英語では「Translation of foreign currencies」と言います。
会計では、Translationが「換算」という意味で使われますが一般的には以下のような意味です。
・Translation:翻訳
・Translator:翻訳家
・Translate:翻訳する

まとめ

最後に本記事のまとめになります。

本記事のまとめ

外貨取引で大切な3つのポイントは、

1.まずは機能通貨の決定が必要
✔「売上」と「売上原価」に影響する通貨が機能通貨になる
✔機能通貨は一度決められたとしても、後で変更可能

2.外貨取引の換算で使うのはその日の為替レート
✔外貨と機能通貨の両方を記録することがポイント

3.決算時に外貨の換算が必要
✔決算日の為替レートを使用すること