【英文会計入門】海外で経理として働くための知識を解説

たぬき

海外就職に興味があるんだけど、海外で経理として働くにはどんな知識が必要なんだろう?
実際にどんな仕事をしているのか知りたいな。

本記事では、こんな疑問にお答えします。

本記事の内容は以下の通りです。

本記事の内容
  • 英文会計(英語+会計)の基礎を解説
  • 海外での経理の仕事内容

本記事を書いている私のカンタンな自己紹介は以下のとおりです。

たぬきの経歴
【2011年】アメリカの大学卒業後、USCPA試験に合格。
【2012年】シンガポールの中堅監査法人に就職し、中小~上場企業の監査を担当。
【2015年】会計記帳サービスを中心としたバックオフィス業務を提供するシンガポールの別会社へ転職し、現在に至る。
tanuki

2012年からシンガポールで会計に関わる仕事をしている経験をもとにお話していきます。

英文会計(英語+会計)の基礎を解説

Man showing business graph on wood table

英文会計とは、文字の通り「英語で会計」のことを指します。

「会計」と聞くと、お店とかでお金を支払う「お会計」をイメージされるかもしれません。

今回ご紹介する「会計」は、ビジネスのお金を記録するのことです。家計簿みたいなものですね。

tanuki

つまり、英文会計を簡単に言うと、英語で家計簿をつける感じです。


家計簿をつけるには、ルールがあります。そのルールに沿ってお金の流れを記録することで、

  • 自分の手元にいくらの資産があるのか?
  • 借金はいくらあるのか?
  • いくらお金を稼いで、いくら使ったのか?

などを把握することができます。

Double entry

会計でお金の流れを記録するには、「Double entry(ダブルエントリー)」を使って記録するというルールがあります。

Double entryとは、「複式簿記」のことなんですが、難しいので、もう少し砕いて解説していきます。

tanuki

Double entry(複式簿記)では、あらゆる取引は、必ずDebitとCreditの1セットで記録されます。


Debitは「デビット」、Creditは「クレジット」と読みます。そして、Debitは「Dr.」、Creditは「Cr.」と略されます。

日本語では、Debitは「借方(かりかた)」、Creditは「貸方(かしかた)」といいます。

難しい説明は省いて、単純に以下の通りに覚えてください。

Debitは「左」、Creditは「右」

ただ単に、「左と右」というだけです。

お金の流れをDouble entryで記録するということでしたが、具体例を使って深堀りしていきます。

お母さんのお手伝いをしたので、100円のお小遣いをもらいました。

これは、「お手伝いというサービスをお母さんに与えたお返しに、お小遣い(売上)を100円もらった」という感じです。

これがDouble entryで記録されると、

Dr.(借方)Cr.(貸方)
Cash(現金)100
Revenue(売上)100
Total(合計)100100

Dr.とCr.の合計は常に等しい

上の例だと、「お小遣い100円をもらった」というのは、「現金が100円増える」ということになります。これはDr.に現金が100円。

Dr.に100円が増えたから、Cr.にも等しく100円分の記録をしてあげないといけません。

Cr.はなんだろう?と考えた時に、今回は「売上」に100円記録されます。

今Dr.に現金、Cr.に売上を記録すると解説していきましたが、

「なんでDr.に現金が記録されるのか?」
「Cr.ではなくて、Dr.に売上を記録してはいけないのか?」

などの疑問があるかと思います。

「なぜDr.に現金、Cr.に売上を記録するのか?」はもう少し後で深堀りしていきますね。

Accrual basis

上で紹介したDouble entryの他にもう一つ覚えておくルールがあります。

それは、会計上あらゆるものが「Accrual basis(アクルーアル ベーシス)」に基づいて記録されるということです。

Accrual basisとは「発生主義」という意味になります。この言葉の反対がCash basis(キャッシュ ベーシス)といい、「現金主義」という意味です。

以下、Accrual basisとCash basisについての説明になります。

  • Accrual basis=現金の収入や支出に関わらず、「経済的事象」の発生に基づいて収益や費用を記録する。
    「サービスが提供されたと見なされた時」に記録する方法です。
  • Cash basis=現金の収入や支出に基づいて、収益や費用を記録する。
    つまり、「現金の出入り」をそのまま記録する方法です。

少し難しいので、例を使って考えてみましょう。

問題

12月の給料300,000円あり、支払いは翌月1月7日です。300,000円の給料は12月、1月のどちらの帳簿に記録されますか?
Accrual basisの場合とCash basisの場合の2通りで解答してください。

解答

Accrual basisの場合、12月の帳簿に記録。
→実際の支払いは1月7日だけど、12月に働いた対価として支払われる給料なので、12月に記録されます。

Cash basisの場合、1月の帳簿に記録。
→支払いが1月7日なので、給料が支払われた1月に記録されます。

Cash basisでの記録のほうが簡単ですが、Accrual basisで記録されるのがルールです。

【Balance Sheet】と【Profit or loss】

「なぜDr.に現金、Cr.に売上を記録するのか?」を深堀りしていく前に、数字を記録していく「目的」を少し説明します。

なぜビジネスをやる上で、会計や経理というのが必要なのか?

それは、ビジネスで得たお金や資産、または借金の金額を把握することで、

  • 現状自分のビジネスはどうなっているのか?
  • 今後はどうしていけばいいのか?

を理解できるからなんです。

これらを把握するのに、役に立つのが以下の2つになります。

  • Balance Sheet(バランスシート)【貸借対照表】
    資産、負債、資本で構成されます。
  • Profit or Loss / Income Statement(プロフィット オア ロス/インカム ステートメント)【損益計算書】
    売上、費用で構成されます。(他の項目もあるのですが、簡潔にするためにここでは売上と費用だけで説明します。)

英語でBalance SheetやProfit or Lossと毎回言うのは、長いので、実際にはBS(ビーエス)とPL(ピーエル)ということが多いです。

BSとPLを図にすると、下のようにパズルみたいになります。

これを式で表すと、

  • BS
    Assets = Liabilities + Equity
  • PL
    Revenue – Expense = Profit(Expense>Revenueの場合、Profitではなく”Loss”になります。)

英語ばかりでよく分からないかと思うので、一つずつ紹介していきます。

・Assets(アセット) = 資産
現金、建物、株などの、お金もしくはお金に替えれるものです。

・Liabilities(ライアビリティ)=負債
これから支払う費用。要するに、借金です。

・Equity(エクイティ)=資本
資産から負債を引いた残り。

・Revenue(レベニュー)=売上
何かを売ったり、サービスを提供した時に受け取るお金。

・Expense(エクスペンス)=費用
何かを購入したり、サービスを受けたりした時にかかるお金。

・Profit(プロフィット)またはLoss(ロス)=利益または損失
売上から費用を引いた残り。
費用より売上のほうが大きければ利益になり、売上のほうが小さければ損失になります。

つまり、

  • BSとは、資産がいくらあって、借金がいくらあって、利益(または損失)の積立がいくらあるのかを示すもの。
  • PLとは、その会社がどれだけお金を稼いで、どれだけお金を使ったのかを示すもの。

となります。

上の図で、Dr.側にあるものはDr.に記録されると金額が増え、Cr.側にあるものはCr.に記録されると金額が増えます。

もう一度、上で紹介した例で見てみます。

例:お母さんのお手伝いをしたので、100円のお小遣いをもらいました。

Dr. Cash(現金)        100    
 Cr. Revenue(売上)        100

こんなイメージです。

現金が増えるのは、Dr.に記録された時なので、Dr.にある資産として現金を100円記録します。

Dr.に現金を100円記録したので、Cr.にも100円記録する必要があるので、今回は「売上」としてCr.に100円を記録します。

なんとなくイメージが掴めたでしょうか?

会計とは、どんな取引が会社の資産や売上を上げ、どんな取引だと負債や費用になるのかを理解するビジネスの言語だと、私は思っています。

なので、今回はDr.に現金、Cr.に売上として記録しましたが、取引の内容が変わると、Dr.とCr.に記録するものも変わってきます。

慣れてくると、ビジネスの話を聞く時に頭の中で自動的にDouble entryが出てくるので、お金の流れが明確に見えてきます。

BSとPLについて詳しく知りたい方は、それぞれ記事を書きましたので、以下のリンクからどうぞ(^_^)

BSの解説記事:
【英文会計入門】バランスシートの基本を超カンタンに解説

PLの解説記事:
【英文会計入門】損益計算書(PL)の基本を超カンタンに解説

海外での経理の仕事内容

「英語と会計の知識を使って、日々どんな業務を行うのか」を私のシンガポールでの経験をもとにご紹介していきます。

海外で会計の知識を使って働きたいと考えている方にとって、海外で働くことをなんとなくイメージするのにお役に立てればと思います。

日々、帳簿をつける目的

もちろん、「会社の業績を数字で確認」や「今後の予算の分析」という目的もあるんですが、法人税などの「政府への申告」のためにも必要です。

シンガポールで会社の数字を記録するうえで、最終ゴールとなるのは主に以下の2つです。

  • 決算書(上で紹介したBS、PLを含んだレポート) の作成
     →BSやPLで会社のお金の状況を確認。
  • 法人税の計算
     →会社が支払う税金額の計算。

「決算書の作成」と「法人税の計算」に向けて、1年間会社のお金の動きを記録します。

このゴールに向けての1年の流れは下の通りになります。

1年の流れ

①書類をもとに会計ソフトを使って、日々帳簿をつける。
(毎日家計簿をつけるイメージです。)

②会計ソフトに入力した数字をもとに、決算書&法人税計算を準備。

③決算書&法人税計算を準備でき次第、会社役員へ提出。

④役員が決算の数字に合意した後、法人税を申告。

①は毎日行う業務となり、②~④は1年が終わって、決算の時に行う業務になります。

①に「書類をもとに会計ソフトを使って」とありますが、どんな書類かというと、以下のようなものになります。

・お店で買い物した時にもらうレシート
・何かを購入した時に業者から受け取った請求書
・自分の会社からお客さんへ発行した請求書
・会社の銀行取引明細書(通帳のようなもの)
など

実際、1年のスケジュールがどんな感じなのかというと、
例えば12月が決算月という場合のスケジュールは以下の通りです。

②~④の作業は、12月を過ぎてから長くても3ヶ月以内に済ませるようにします。

もちろん1~3月に②~④の作業をしている間も、日々の帳簿をつける作業は継続です。

会社によっては、毎月の数字を確認したい場合もあるので、毎月のBS、PLレポート作成などの業務もあります。

ですが、基本的には、上のスケジュールで日々業務をしていくことになります。

まとめ

本記事のまとめ

【英文会計の基礎を解説】

  • Debit側で記録した合計とCredit側で記録した合計はいつも等しい。
  • Accrual basisに基づいて帳簿は記録される。
  • BSとPLは、会社のお金の流れを把握するためのツール。

【海外での経理職の仕事内容】

  • 日々会社の帳簿をつけるゴールは、会社の運営状況を把握するため+会社の税金申告

本記事を書いている時に、私が初めて会計学の授業をとったことを思い出しました。

その時の印象は、「全く意味が分からない…」でした。

初めて学ぶことばかりだったので、悪戦苦闘したことを思い出しました。

今回ご紹介したのは基礎の基礎ですが、これから英文会計を勉強していきたい人にとってお役に立てればと思います。