

人件費って英語でなんていうんだろう?

人件費の英語表現には色んな言い方があります。例えば、「Staff costs」「Payroll」「Labour costs」がそうです。
この記事では、一般的に使われる人件費の英訳の他に、以下について解説していきます。
- 人件費の帳簿の付け方
- 人件費の内訳
- 決算書での人件費の開示例
人件費を英語でいうと?

人件費の英訳には色々あり、一般的によく使われるのは以下のとおりです。
- labour/labor costs(レイバー コスト)【英語:labour、米語:labor】
- personnel expenses(パーソネル エクスペンス)
- employment costs(エンプロイメント コスト)
- manpower costs(マンパワー コスト)
- payroll costs(ペイロール コスト)
- staff costs(スタッフ コスト)
※この記事では、なんとなくでも読めるようにカッコ内にカタカナでの読みを入れています。すべて単数形の発音ですので、厳密に正しい発音ではありませんm(_ _)m
人件費に関連する英語
まずは人件費の内訳の日本語&英語をご紹介します。用語の英語訳だけが知りたい場合には、以下の表だけで十分だと思います。
日本語 | 英語(カタカナ発音) |
---|---|
賃金 | Wages(ウェイジ) |
給料 | Salaries(サラリー) |
社会保険料 | Social security contributions(ソーシャル セキュリティ コントリビューション) |
有給年次休暇 | Paid annual leave(ペイド アニュアル リーブ) |
有給病気休暇 | Paid sick leave(ペイド シック リーブ) |
利益分配 | Profit-sharing(プロフィット シェアリング) |
賞与・ボーナス | Bonuses(ボーナス) |
医療手当 | Medical care allowance(メディカル ケア アラーワンス) |
住宅手当 | Housing allowance(ハウジング アラーワンス) |
通勤手当 | Commuting allowance(コミューティング アラーワンス) |
年金 | Pensions(ペンション) |
退職一時金 | Lump sum payments on retirement(ランプ サム ペイメント オン リタイアメント) |
生命保険 | Life insurance(ライフ インシュアランス) |
長期勤続休暇 | Long-service leave(ロング サービス リーブ) |
研修/研究休暇 | Sabbatical leave(サバティカル リーブ) |
記念日休暇 (会社の創立記念日など) | Jubilee leave(ジュビリー リーブ) |
長期勤続給付 | Long-service benefits(ロング サービス ベネフィット) |
長期障害給付 | Long-term disability benefits(ロング ターム ディサビリティ ベネフィット) |
解雇給付 | Termination benefits(ターミネーション ベネフィット) |
役員報酬 | Directors’ remuneration(ダイレクターズ レミュネレーション) |
雑給 | Other salaries(アザー サラリー) |
福利厚生費 | Welfare expenses(ウェルフェア エクスペンス) |
次は人件費の会計的な解説に移ります。

ここから先は英文会計の話になるので、少し難しくなります。英文会計の基礎を知りたい場合は、まずは以下の記事をぜひご覧ください。
>>【【英文会計入門】海外で経理として働くための知識を解説】
人件費の帳簿の付け方
下の図はシンプルなPLですが、人件費はDr.(貸し方)である費用に記帳されるので、その分費用が増えることになります。結果的に利益を減らすことにつながります。

複式簿記でみると、以下のようになります。
【翌月5日に前月の人件費を支払い】
(Dr.=貸し方、Cr.=借り方)
会計基準における人件費の定義
他にも人件費に含まれる項目の例として、賞与、手当、退職給付などがあります。
シンガポール会計基準(SFRS)では、これらの費用を含めて人件費のことを「Employee benefits(エンプロイー ベネフィット)」といいます。「従業員給付」という意味です。
このEmployee benefitsに含まれる項目については、シンガポール会計基準に明記されています。
- 短期従業員給付
- 退職後給付
- その他長期従業員給付
- 解雇給付
少し長いですが、まずはシンガポール会計基準からの引用です。
Employee benefits include:
SFRS(I) 1-19 Employee Benefits
(a) short-term employee benefits, such as the following, if expected to be settled wholly before twelve months after the end of the annual reporting period in which the employees render the related services:(i) wages, salaries and social security contributions;(ii) paid annual leave and paid sick leave;(iii) profit-sharing and bonuses; and(iv) non-monetary benefits (such as medical care, housing, cars and free or subsidised goods or services) for current employees;
(b) post-employment benefits, such as the following:(i) retirement benefits (eg pensions and lump sum payments on retirement); and(ii) other post-employment benefits, such as post-employment life insurance and post-employment medical care;
(c) other long-term employee benefits, such as the following:(i) long-term paid absences such as long-service leave or sabbatical leave;(ii) jubilee or other long-service benefits; and(iii) long-term disability benefits; and
(d) termination benefits.
これを日本語訳してまとめると、
(b) 退職後給付
(c) その他長期従業員給付
(d) 解雇給付
決算書での人件費の開示方法

前述しましたが、人件費はPLに出てくる費用ですので、まずはPLを見ていきます。
一般的には人件費は赤で囲っている「Administrative(アドミニストレイティブ)」に含まれます。Administrativeの意味は「管理」ですので、人件費は管理費に含まれるということです。
※厳密にいうと、すべての人件費は管理費に入るわけではありません。詳細については、ここでは割愛します。
Administrativeの内訳はNote 5(注記5)で開示されているので、そちらを見ていきましょう。
この中で人件費に該当するものは赤で囲っている「Employee compensation(エンプロイー コンペンセーション)」です。
このEmployee compensationの横に注記6と記載されているので、さらに深堀りするために、そちらも見ていきましょう。
ここでようやく人件費の内訳が開示されています。日本語訳は以下のとおりです。
英語(カタカナ発音) | 日本語 |
---|---|
Wages and salaries(ウェイジ アンド サラリー) | 給料と賃金 |
Employer’s contribution to defined contribution plans(エンプロイヤーズ コントリビューション トゥー ディファインド コントリビューション プラン) | 確定拠出年金への雇用者拠出金* |
Termination benefits(ターミネーション ベネフィット) | 解雇給付 |
Other long-term benefits(アザー ロング ターム ベネフィット) | その他長期給付 |
Share option expense(シェア オプション エクスペンス) | ストックオプション費用 |
【おまけ】決算書では経営陣の人件費は別の注記で開示される
「Related party transactions」の意味は、「関連当事者取引」になります。
決算書での開示例は以下のようになります。
まとめ

- 人件費を英語でいうと、以下のように様々な表現がある。
- labour/labor costs(レイバーコスト)【英語:labour、米語:Labor】
- personnel expenses(パーソネルエクスペンス)
- employment costs(エンプロイメントコスト)
- manpower costs(マンパワーコスト)
- payroll costs(ペイロールコスト)
- staff costs(スタッフコスト)
- 人件費はPLに出てくる費用。人件費が増えるとその分利益が減る。
- 人件費の内訳
- 人件費は会計基準の定義だと「従業員給付」という。
- 主な内訳としては次の4つ。①短期従業員給付(給料、有給休暇)②退職後給付(年金、退職後の医療費)③長期従業員給付(長期勤続休暇、長期障害給付金)④解雇給付
- 決算書での人件費の開示例
- PL(損益計算書)→Expenses by nature(性質別費用)→Employee compensation(従業員報酬)→Related party transactions(関連当事者取引)の順番で開示例を紹介しました。
単純に人件費を英語で使うときは、「personnel expenses」「payroll costs」「staff costs」のどれかを使えば問題ないです。