貸倒引当金を英語で?【海外で役立つ会計英語を簡単解説】

たぬき

貸倒引当金って英語でなんていうんだろう?


tanuki

貸倒引当金は英語で、「Allowance for doubtful debts(アラーワンス フォー ダウトフル デッド)」といいます。
この記事では、貸倒引当金の英訳に加え、以下について解説していきます。

本記事の内容
  • 貸倒引当金の英訳
  • 貸倒引当金の中身・仕訳例
  • 貸倒引当金の決算書での開示例

貸倒引当金を英語で?【海外で役立つ会計英語を簡単解説】

貸倒引当金を英語で?【海外で役立つ会計英語を簡単解説】

貸倒引当金を英語でいうと?

貸倒引当金を英語でいうと、主に以下2つになります。

  • Allowance for doubtful debts(アラーワンス フォー ダウトフル デッド)
  • Allowance for bad debts(アラーワンス フォー バッド デッド)
なんとなくでも読めるようにカッコ内にカタカナでの読みを入れています。すべて単数形の発音ですので、厳密に正しい発音ではありませんm(_ _)m

各単語の意味を紹介すると以下のとおり。

  • Allowance(アラーワンス):許容量
  • doubtful debts(ダウトフル デッド):直訳すると「疑わしい債務」ということから、「不良債権」という意味。
  • bad debts(バッド デッド):直訳すると「悪い債務」ということから、「不良債権」という意味。
つまり、Allowance for doubtful debtsとAllowance for bad debtsのどちらも直訳すると、「不良債権に対する許容量」ということから、「貸倒引当金」という意味になります。
また、貸倒引当金と関連してよく出てくる英語には以下のものがあります。

貸倒引当金と関連してよく出てくる英語(カタカナ発音)
  • Trade and other receivables(トレード アンド アザー レシーバボー):売掛金及び未収入金
  • Bad debts expenses(バッド デッド エクスペンス):貸倒損失

tanuki

ここから先は英文会計の話になるので、少し難しくなります。英文会計の基礎を知りたい場合は、まずは以下の記事をぜひご覧ください。
>>【【英文会計入門】海外で経理として働くための知識を解説】

貸倒引当金の中身・仕訳について

貸倒引当とは、損失になるかもしれない金額を予想して、貸倒損失によるリスクに備えて計上しておく引当金のことを指します。

なぜ貸倒損失によるリスクに備えるかといいますと、取引先がお金を払ってくれない可能性があるからです。

例えば、
お客さんから100万円分の商品の発注依頼があったので、掛けで販売し、商品を納品しました。
納品してから1週間後に60%(60万円)を支払ってもらったが、その後1ヶ月経過しても残金の支払いがまだされていませんでした。お客さんに確認したところ、どうやら資金繰りがうまくいっていない模様。
残金が回収できない可能性が出てきたので、残金分(40万円)を貸倒引当金として設定しておくことにしました。
という感じで、上の例のように売上の残金を回収できそうになく、損失になりそうな金額分をあらかじめ引当金として計上することが、貸倒引当金になります。

貸倒引当金の仕訳例

貸倒引当金は貸借対照表(Balance Sheet / BS)に出てくる勘定科目ですが、ここからは貸倒引当金がどのようにBSに影響を与えるのか、図を使って理解していきましょう。

上で紹介した40万円の貸倒引当金を設定した例をもとに紹介します。

①お客さんから100万円分の商品の発注依頼があったので、掛けで販売し、商品を納品しました。
Dr. Trade and other receivables(売掛金及び未収入金) 1,000,000
 Cr. Sales(売上)    1,000,000
(Dr.=貸し方、Cr.=借り方)
この仕訳を図で表すと、以下の通り。
商品を販売したので、PLの売上が増加。掛けでの販売だったので、BSの売掛金及び未収入金が増加。
②納品してから1週間後に60%(60万円)を支払ってもらったが、その後1ヶ月経過しても残金の支払いがまだされませんでした。
Dr. Cash and cash equivalent 600,000
 Cr. Trade and other receivables 600,000
(Dr.=貸し方、Cr.=借り方)
この仕訳を図で表すと、以下の通り。
60%を支払ってもらったので、BSの現金が増加。それと同時にBSの売掛金及び未収入金が減少。
③残金が回収できない可能性が出てきたので、残金分(40万円)を貸倒引当金として設定しておくことにしました。
Dr. Bad debts expenses 400,000
 Cr. Allowance for doubtful debts 400,000
(Dr.=貸し方、Cr.=借り方)
この仕訳を図で表すと、以下の通り。
貸倒引当金を設定したので、PLの貸倒損失が増加。そして貸倒引当金の金額分BSが減少。

【補足】AllowanceとProvisionの違い

ここでは引当金の英単語としてAllowance(アラーワンス)を紹介してきましたが、他にもProvision(プロビジョン)という単語もあります。

ですが、Provisionが同じように貸倒引当金として使われる英単語かというと、そうでもありません。なぜなら、AllowanceとProvisionでは使い方が異なるからです。

AllowanceとProvisionの違い
  • Allowance→評価性引当金
    • 資産の部で計上。ただし資産をマイナス。
    • 例:資産の部にある売掛金の貸倒引当金として計上されるので、同じく資産の部に入るが、マイナス計上される。
  • Provision→負債性引当金
    • 負債の部で計上。負債をプラス。
    • 例:これから支払う債務として負債の部に計上される。例えば、ボーナスの見積り金額として賞与引当金を負債の部に計上。
つまり、特定の資産(例:売掛金)から控除される引当金として使うならAllowance、独立した負債の引当金(例:賞与引当金)として使うならProvisionという感じです。

評価性引当金、負債性引当金の使い分けにはもう少し詳細な原則があるのですが、専門的になるのでここでは割愛します。

決算書で貸倒引当金を開示する場合

ここからは実際に貸倒引当金がどのように決算書で開示されているのかをご紹介します。Big4監査法人の一つであるPwCが公表している決算書の実例で確認していきます。

前述しましたが、貸倒引当金は貸借対照表(Balance Sheet / BS)に出てくる勘定科目です。今回の例では、貸倒引当金は売掛金についていますので、詳しくはTrade and other receivablesのNote 18(注記18)を見ていくことにします。

注記18では、Trade and other receivablesについて情報が開示されています。上の画像の赤で囲っている「Less: Loss allowance」が貸倒引当金です。

まとめ

まとめ
本記事のまとめ
  • 貸倒引当金を英語でいうと、
    • Allowance for doubtful debts(アラーワンス フォー ダウトフル デッド)
    • Allowance for bad debts(アラーワンス フォー バッド デッド)
  • 貸倒引当とは、損失になるかもしれない金額を予想して、貸倒損失によるリスクに備えて計上しておく引当金のこと。
  • 決算書での貸倒引当金の開示
    • Trade and other receivables(売掛金及び未収入金)の注記で開示される。

今回は貸倒引当金について解説しましたが、本格的に「英語x会計」のプロになりたいと考えている方はUSCPA(米国公認会計士)を目指してみても良いかと思います。

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