【英文会計入門】バランスシートの基本を超カンタンに解説

たぬき

英文会計に出てくるバランスシート(BS)ってなんだろう?
会社の財務状態を表したものなんだろうけど、バランスシートが理解できたら、何ができるのかな?

今回はこんな疑問にお答えします。

本記事の内容は以下の通りです。

・【英文会計入門編】バランスシート(BS)について解説
・バランスシート(BS)を理解ることは健康診断と同じ

シンガポールで会計に関わる仕事を8年している経験をもとにお話していきます。
※シンガポールの会計基準にそって話を進めていきますので、国際会計基準よりになります。

【英文会計入門編】バランスシート(BS)について解説

まずはバランスシートに入る項目にはどんなものがあるのかを理解しましょう。

ちなみに、バランスシートは「貸借対照表」ともいいます。
バランスシートは英語で書くと、「Balance Sheet」です。
一般的には略して、BS(ビーエス)といいます。

バランスシートの「バランス」は残高という意味です。

何がDr.とCr.に入るのかを理解することで、どんなビジネス取引がBSに影響するのかを理解できます。

※BS、Dr.、Cr.などの用語が分からない方は、「【英文会計入門】海外で経理として働くための知識を解説」で、詳しく解説しています。

BSの中身を確認

まずは、BSのざっくりとした項目ですが、以下の通りです。

Assets, Liabilities, Equityだけではざっくりすぎる項目なので、実際にはもう少し細かい項目に分けられます。それが以下の通りです。

※厳密にいうと、もう少し細かい項目があるのですが、これでも項目を絞りました(^_^;)

英語ばかりで、混乱されるかと思うので、一つずつ解説していきます。

✔CurrentとNon-current

Currentは流動、Non-currentは非流動(固定)という意味なのですが、流動は「1年以内」、固定は「1年よりも長い期間」という意味になります。

上のBSの図に書いてある項目は、

・Current assets=流動資産
→1年以内に現金化可能の資産
・Non-current assets=固定資産
→1年より長い期間かけて現金化可能の資産
・Current liabilities=流動負債
→1年以内に支払う負債
・Non-current liabilities=固定負債
→1年より長い期間かけて支払う負債

となります。

ちなみに資本には、流動、固定という分類はありません。

✔Assets(資産)

まずはAssets(資産)から見ていきます。

AssetsはDr.に記録された時に増えます。
(逆にCr.に記録されると、減ります。)

Assetsに入る項目と日本語訳は、以下の通りです。

Current
・Cash and cash equivalents=現金と現金同等物
手元にある現金、預金、まだ現金化していない小切手などが含まれます。

・Trade and other receivables=売掛金と未収金
まだ受け取っていない収入や報酬。

・Inventories=棚卸し
商品の在庫。

・Financial assets=金融資産
株式投資やFXに入れているお金。

Non-current
・Property, plant and equipment=有形固定資産
土地、建物、機械設備など。

・Investments=投資
自分のビジネスとしてお金を投資している会社や事業。
CurrentにあるFinancial assetsの株式投資に似ているかもしれませんが、Investmentsに入るものは自分がそのビジネスを20%以上保有している場合になります。

・Intangible assets=無形資産
実際に触れることができない資産です。
具体例では、ソフトウェア、コピーライト、ライセンスなどです。

✔Liabilities(負債)

次にLiabilities(負債)。

LiabilitiesはCr.に記録されると、増えます。
(逆にDr.に記録されると、減ります。)

Liabilitiesに入る項目と日本語訳は、以下の通りです。

・Trade and other payables=買掛金と未払金
まだ支払っていない費用。

・Current income tax liabilities=未払い法人税
まだ支払っていない法人税。

・Borroiwngs=借入金
借りたお金。つまり、借金です。

✔Equity(資本)

最後にEquity(資本)です。

EquityはCr.に記録されると、増えます。
(逆にDr.に記録されると、減ります。)

Equityに入る項目と日本語訳は、以下の通りです。

・Share capital=資本金
基本的に返す必要のない株主が入れてくれたお金。

・Retained profits=内部留保
今まで貯めてきた利益。
マイナスになると(つまり、Dr.として増えると)、Accumulated losses(累積損失)と呼ばれます。

本当にざっくりとした説明だったかもしれませんが、いきなり難しいことばかりだと挫折してしまうと思いますので、シンプルに理解しておくことが大事だと思います。

バランスシート(BS)を理解することは健康診断と同じ

BSを理解できると、会社の金銭的な健康状態が分かるようになります。

会社にどのくらいの資産、負債、資本があるのかを理解できるということは、つまり、

・お金は足りるのか?資金繰りは大丈夫か?
・どんな資産を使って、ビジネスをしているのか?
・借金があるけど、ちゃんと返せるのか?

ということが、分かるようになります。

「会計」と聞くと難しいかもですが、要は会社の家計簿です。

仕事をしていれば、ぼんやりとでも自分の収入や支出の金額を把握しているはずです。

なので、「会計とは会社の帳簿」と聞くと、「うっ。。。」と拒否反応が出るかもですが、個人サイズの家計簿だと考えてみると身近に感じるかと思います。

深堀りするために、個人サイズでの具体例を紹介していきます。

✔身近な具体例で解説

例えば、サラリーマンの経済状況をBSに表してみると、

・Cash and cash equivalents=貯金 100万円
・Trade and other receivables=給料 30万円
・Trade and other payables=家賃、食費、交通費、交際費、年金、保険料 13万円
・Current income tax liabilities=所得税(源泉徴収) 2万円
・Share capital=親から仕送りしてもらったお金 30万円
・Retained profits=自分で稼いで貯めたお金(=自分で稼いだお金ー使ったお金) 85万円

(例として、ざっくりした数字を使います。)

図にしてみると、下のような感じです。

※大事なことは、Dr.とCr.の合計が一致すること。

ここから、このサラリーマンの物語を見ていくとします。

①「この方が副業として、株式投資を始めてみた」となると、

Dr.Cr.
Financial assets10万円
Cash and cash equivalents10万円

②「結婚した後、ローンを組んで、家を購入した」となると、

Dr.Cr.
Property, plant and equipment1000万円
Borrowings1000万円

③「ローンの返済と将来のために貯蓄したいので、副業でFXを始めてみた」となると、

Dr.Cr.
Financial assets10万円
Cash and cash equivalents10万円

④「FXでの運用が思うようにいかず、結果負けまくってしまった」となると、

Dr.Cr.
Retained profits8万円
Financial assets8万円
(本当はDr.にPLの項目が入りますが、今回はBSの解説なので便宜上Retained profitsを使います)

①~④を通じて、このサラリーマンのBSは下のようになりました。

いかがでしょうか?
このように個人サイズで考えても、会計の知識を使ってBSを作ることができます。

会社の取引がイメージできない時は、「個人でいうと、どういうこと?」と考えてみるとイメージしやすいです。

BSを理解できると、その会社が財務的にどんな状態なのかが分かります。

まとめ

では最後に本記事のまとめです。

・BSに入る項目を理解すると、どんな取引が資産、負債、資本になるのかが分かる。
・BSを理解することは、会社の金銭的な健康状態が分かるということ。

海外で会計関係の仕事に就きたい人にとって、今回ご紹介したのは大事な基本になります。

また、英語でバランスシートを理解することで、日本企業以外への株式投資もできるようになったりします。